書評:『メモの魔力』前田裕二著

本書を読むまでは、メモとは単なる記憶の補助道具、つまり忘れないためだけのツールだと思っていました。しかし、著者の前田裕二さんは、メモを「知的生産のための強力なツール」と位置づけ、その捉え方を根本から変えてくれました。

目次

メモの本質

前田さんによれば、メモとは、単に情報を記録するためのものではなく、アイデアを生み出し、知的生産を加速させるための装置です。これを読んだ時、私は自らのメモの取り方を思い返しました。確かに、日々の業務や生活の中で「忘れないため」にメモを取ってはいましたが、それらは単なる情報の羅列に過ぎませんでした。前田さんの言う「知的生産」に繋がるメモを書いた記憶はほとんどありませんでした。

メモから生まれる5つのスキル

本書では、メモを取ることで鍛えられる5つのスキルについて詳しく説明されています。これらのスキルは、情報を素通りしなくなる、相手の話を深く理解できる、話の構造を把握できる、曖昧な概念を明確に表現できる、そして最も重要なアイデアを生み出せるようになる、というものです。これらのスキルは、私たちが日常的に行うコミュニケーションや問題解決に直結するものであり、メモを通じてこれらの能力を磨くことの重要性を痛感しました。

メモの進化

第2章では、「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークを通じて、メモの取り方をさらに深堀りしています。このフレームワークは、単に事実を記録するのではなく、その事実から一般的な法則や原則を導き出し、それを自分の行動や他の分野に応用するための方法です。この考え方は、私自身の仕事における問題解決やアイデア出しに直接応用できると感じました。特に、異なる分野や状況においても同じ原則が適用できることから、より創造的な思考が可能になることを実感しました。

「What」「How」「Why」の力

抽象化は、具体的な事象から本質を抽出し、より大きな視野で物事を捉える能力です。この章では、抽象化を「What」「How」「Why」という3つの視点で捉える方法が紹介されています。これらの視点から物事を考えることで、より深い理解と応用が可能になります。例えば、私が以前参加したプロジェクトでの成功体験を「Why」の視点で抽象化することで、その成功の本質を見出し、別のプロジェクトにも応用できることがわかりました。

結び

『メモの魔力』を読み終えて、メモが持つ真の力を改めて認識しました。メモを取ることは、単なる記録ではなく、自分自身の思考を整理し、知識を深め、新たなアイデアを生み出すための強力なツールであるということです。この本を通じて学んだメモの技術を日常生活や仕事に積極的に取り入れることで、私自身の知的生産性を大きく向上させることができると確信しています。

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