書評:『ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?』高野 誠鮮著

過疎高齢化が進む石川県羽咋市神子原地区を、年間予算わずか60万円で蘇らせた「スーパー公務員」高野誠鮮さん。その驚異的な挑戦と成功を描いた『ローマ法王に米を食べさせた男』は、ただの地域振興の物語では終わりません。高野さんが展開した一連のプロジェクトは、地方創生の新しい可能性を示し、読む者に深いインスピレーションを与えます。

目次

地方創生への革新的アプローチ

本書では、高野さんがどのようにして神子原地区の米をローマ法王に献上し、ブランド化に成功させたのか、その過程が詳細に描かれています。また、空き農家を活用したIターン促進、農家直売所「神子の里」の設立など、地域資源を最大限活用するアイデアが次々と登場。驚くべきは、これらのプロジェクトを実現するための高野さんの行動力と、既成概念にとらわれない柔軟な思考です。

可能性の無視は最大の悪策

この本を読んで、私が特に感銘を受けたのは、「可能性の無視は最大の悪策」という言葉。これは、どんなに可能性が低くとも、試みなければ何も始まらないという高野さんの信念を象徴しています。自分自身、新しいことに挑戦する際に、「できない」と諦めがちなことが多いですが、この言葉には大きな勇気をもらいました。

人間性と信念

さらに、高野さんの人間性と深い信念に触れることができるのも、この本の魅力の一つ。科学ジャーナリスト、テレビの企画構成作家として活躍した後、公務員として地域振興に身を投じるという異色の経歴。そして、その行動の根底にあるのは、「人間を超えるもの」への深い信仰と、地域社会への愛です。読み進めるうちに、高野さんがただの公務員ではなく、真の「地方創生のリーダー」であることが伝わってきます。

結び

『ローマ法王に米を食べさせた男』は、地方創生に関する一つのモデルケースを提示するだけでなく、私たち一人一人に、自分の地域や社会に対して何ができるか、どう貢献できるかを考えさせる一冊です。高野さんのように大胆なアイデアを持ち、それを実行に移す勇気があれば、小さな村からでも大きな変化を生み出せることを、この本は教えてくれます。読後感は、単なる感動を超え、行動への強い後押しを受けたような気持ちになりました問題解決の鍵は、やはり行動にあるのです。

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